今も愛される南仏プロヴァンスの伝統菓子

フルーツの香り漂うスイーツをおみやげに
ミモザの花が各地を黄色く染め、復活祭を過ぎる頃、南仏は本格的な春を迎えます。アーモンドの木は桜によく似たピンクのかわいらしい花をほころばせ、マルシェには新鮮な果物や春野菜が山のように積み上げられます。
ゴッホやセザンヌなどの画家たちに愛された、温暖な気候と四季折々の花々に彩られた美しいプロヴァンスの風景は、今も世界中の旅人を魅了してやみません。そんなプロヴァンスの風を感じる、香り高い郷土菓子をご紹介しましょう。

もっとも有名なお菓子は、セザンヌの故郷エクス・アン・プロヴァンスの「カリソン(Calisson)」でしょう。アーモンドの粉にメロンのシロップを練りこんで、ひし形に抜き、砂糖でコーティングしたお菓子です。15世紀、善良王と呼ばれたルネ王とジャンヌ王妃との結婚を祝って作られたといわれています。カリソンはいまやフランス各地で手に入りますが、おみやげに求めるなら地元エクス・アン・プロヴァンスの老舗ショコラティエ「ピュイリカール(Puyricard)」がおすすめ。昔ながらの製法で作られたカリソンは、上品な甘さで日本茶にも合うおいしさです。

港町マルセイユの銘菓といえば「ナヴェット(Navettes)」。オレンジの花の香りが特徴の、細長く硬いビスケットで、200年以上変わらない製法で作られている素朴なお菓子です。常温で1年以上もつのでおみやげにもぴったり。ちなみにフランスでは2月2日の「ろうそく祝別の日」にクレープを食べる風習があるのですが、マルセイユではこのナヴェットをいただきます。

ローマ時代からの歴史を持つカルパントラは、プロヴァンス中の農作物が集まる商業の町。この町のスペシャリティは、カラフルなストライプ模様がかわいいキャンディ「ベルランゴ(Berlingots)」。その昔フルーツ・コンフィを作る際に余ったシロップで作り始めたという、果汁たっぷりのおいしいキャンディです。
日本ではまだあまりなじみのないプロヴァンス伝統菓子の数々。南仏を訪れた際にはぜひお試しください。

ピュイリカール(Puyricard)
1967年にエクス・アン・プロヴァンスで創業。カリソンをはじめ、厳選素材で職人がひとつひとつ丹念に作るチョコレートは地元でも評判が高い。パリやフランス各地に19店舗あり。
www.puyricard.fr (外部リンク)