パリの新名所5選【2021年にリニューアルオープン】

新型コロナウイルスの影響で遅れてしまいましたが、パリではまもなく、さまざまな建造物が文化施設としてリニューアルされオープンする予定です。フランス文化を輝かせ、世界の芸術の首都としてのパリの地位を不動のものとする芸術や生活、分かち合いと出会いの場となる新しい文化施設をご紹介します。

ブルス・ド・コメルス パリ証券取引所-ピノー・コレクション

パリ証券取引所-ピノー・コレクション(ブルス・ド・コメルス)が4年の改装工事を経て、ピノー家のコレクションを展示する美術館としてオープンします。オープン日程は、新型コロナウイルスの影響により、2021年春に延期されました。レ・アール地区の真ん中にあるパリ市を代表する建築が、全面改装される予定です。改装を手がけたのは日本人の建築家・安藤忠雄氏。安藤氏は大きなガラス天井の下に直径30メートル、高さ9メートルのコンクリート製の壁で囲んだ円形展示スペースを設け、新たな空間構成を提案しました。全館で現代美術が展示される新美術館は、「教育的使命」も担うことになります。展示スペースの総面積は3000平方メートル以上で、レストランと瞑想のためのスペースもあります。

ピノー・コレクション (外部リンク) - 2 Rue de Viarmes - 75001 Paris
【建築家、安藤忠雄が手掛けるパリの「ピノー・コレクション」】

オテル・ド・ラ・マリーヌ

2世紀以上にわたりフランス海軍将官たちを受け入れてきた権威あるオテル・ド・ラ・マリーヌ(海軍館)がリニューアルします。改装は、建築家のアラン・モアッティ氏が手がけました。イギリス人建築家ヒュー・ダットン氏による300平方メートルもの巨大なガラス天井が特徴的です。3年にわたる工事を経て、ロワイヤル通りの象徴的な建物は「首都パリの新たな文化の中心地」に変身しましたが、当初、2020年夏に予定されていたオープンは新型コロナウイルスの影響で延期されました。施設にはオフィスや図書館、レストラン、ティーサロン、ブティックが入居予定です。また、奴隷制の記憶財団(la fondation pour la mémoire de l’esclavage)の本部と20年契約でカタールのアル・タニ美術館に貸し出される同美術館のコレクション(6000点)展示スペースも開設されます。

ホテル・ド・ラ・マリーヌ (外部リンク) - 2 Place de la Concorde - 75008 Paris

新しくなったサマリテーヌ百貨店

待ち望まれていたサマリテーヌ百貨店の再オープンは、新型コロナウイルスの影響で2020年4月から2021年の年明けに延期されました。このアール・デコ様式の至宝は2005年に安全上の理由により閉館し、以来、15年近く改修工事が続いていました。2000年にはポン・ヌフとリヴォリー通りに挟まれたパリを象徴するこの百貨店をLVMHグループが取得しました。パリ随一の商業施設は全面的に刷新され、まもなく新しく生まれ変わります。総床面積7万平方メートルの施設には2万平方メートルを占める百貨店と、72室を擁するホテル、オフィス、レストラン、低所得者向けの社会住宅、託児所などが入居予定です。

ラ・サマリテーヌ (外部リンク)  - 19, rue de la Monnaie - 75001 Paris

シャネルのファッション・アトリエ「Le 19M」

輝かしい名声を誇るラグジュアリーグループのシャネルが、新施設「19M」の開設というスケールの大きなプロジェクトをすすめています。パリの北東に位置し、パリ市に隣接するポルト・ドーベルヴィリエに開設されるこの施設には、あらゆる伝統技術が集結する予定です。デザインは、マルセイユの欧州・地中海文明博物館(MuCEM)やルーヴル美術館のイスラム美術部門などの業績で知られる著名な建築家ルディ・リチオッティ氏。職人や学生、芸術愛好家が集うオープンで協働を促す施設となるでしょう。美的な面について言うと、建物は「外骨格構造」をしており、モードに欠かせない布地の繊維を思わせる、高さ24メートルの白いコンクリート製の構造物で覆われています。地上5階、地下2階、総床面積2万5000平方メートル以上のこの施設には、シャネルの社員およそ600人が勤務します。1200平方メートルの展示スペースも開設予定。また、シャネルのために宝石や靴、刺繍、手袋を製造する専門業者や、高級プレタポルテ・ブランドも入居予定です。オープン日程は今のところまだ発表されていません。

シャネルのファッション・アトリエ「19M」 - 38, avenue de la Porte d'Aubervilliers - 75019 Paris

ラ・シテ・デ・メチエ・ダール・エ・デュ・デザイン La Cité des Métiers d’Art et du Design

2021年秋、ラ・シテ・デ・メチエ・ダール・エ・デュ・デザイン(手仕事とデザインの都市)がオープンします。1979年まで国立陶磁器学校の校舎として使われていた建築家ブリュノーによる建物が、この再開発計画の受け入れ先として選ばれました。非常に象徴的なものづくりの場が、卓越した貴重な技術を継承するために選ばれたのです。パリ南西セーヴルのサン=クルー公園に近いラ・グランド・リュに開設される施設の敷地面積は3000平方メートルにおよびます。「歴史的建造物」に格付けされた2棟の建物に、職人やデザイナーのアトリエを受け入れます。リノベーションを手がけたのは、セーヴルの「歴史的建造物主任建築家」(歴史建造物を扱う資格を持つ建築家)マリー=シュザンヌ・ド・ポントーでした。この革新的な文化事業には、芸術的および教育的観点からの明確な目的があります。ひとつは、イル・ド・フランス地方西部を拠点とする職人やデザイナーに、豊かな着想を与える職場環境を提供すること。もうひとつは、たくさんの人々に彼らのノウハウのすばらしさを伝えることです。展示室と20のアトリエ(広さは30〜130平方メートル)に、100人ほどの職人が入居する予定です。

ラ・シテ・デ・メチエ・ダール・エ・デュ・デザイン - Grande Rue - 92310 Sèvres

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パリ市観光局公式サイト (外部リンク) (日本語)