インスピレーションあふれるパティシエ、ピエール・エルメ

記念すべきサロン・ドゥ・ラ・パティスリー第1回が2018年6月15日から17日にかけてパリで開催されました。今回、名誉総裁を務めるパティシエのピエール・エルメ氏が、取材に応じてくれました。自身のインスピレーション、最近の傾向、思い出のお菓子、出身地アルザスの名物ほか、おいしいインタビューをどうぞ。

第1回サロン・ドゥ・ラ・パティスリーの名誉総裁をどうして引き受けられたんですか?
こうした活動を通して、一般の人々と交流や共有ができるからです。ノウハウの秀逸さやその継承など、パティシエという仕事の価値を支えているとお褒めにあずかったんですが、それが私たちの仕事の基本ですし、そうすることで波及に貢献できるんです。今現在、私たちの仕事は非常に注目されていますし、多くの人々が興味を示しています。

フランスのパティスリー界は現在、どんな傾向にありますか?
砂糖の使い方に注意を払うというのが、現在の傾向のひとつです。砂糖は味付けに用いられますが、風味を損ねることなく正確な分量にしなければなりません。個人的には昔から取り組んできたことですが、それがちょうど時勢と一致しました。

フランス菓子と他との違いは? 他の国にはない魅力があるんでしょうか?
料理に関しては、世界中にさまざまな種類が存在します。しかしパティスリーに限っていえば、フランスが実に優勢です。私たちのノウハウは、ほぼ世界中で参考にされているんです。高い技術力がありますし、フランスはパティシエのノウハウを築いた国のひとつです。ですから、非常に大きな伝統があると同時に、創造性も豊かで、20年以上そうした状況が続いています。新しい材料を用いたり、基本の技術を新しい方法で試したりといったこともそうです。スタイルにも傾向にも、本当に多様性があるんです。

インスピレーションはどこから?
ふとした会話の瞬間、イメージ、本など、あらゆるところからインスピレーションを得ます。それらと同様に、私にとっては材料もインスピレーションの源です。たとえば私は、塩味のある材料を甘く仕立てるのが好きなんです。ジャルダン・デ・ポエット(詩人たちの庭園)というマカロンがまさにそれで、パティスリーでは一般的ではない白味噌を使っており、そこへ柚子のタッチを加えました。

代表作といえるパティスリーはなんでしょう?
店の外で聞き取り調査をしたほうがいいかもしれませんが、ライチとフランボワーズのイスパハンでしょうか。バラの甘さ、ライチの香り、フランボワーズの野趣…さまざまな風味が見事に融合し、全体として絶妙な調和を生むんです。お客さまは“フェティッシュ”な商品を求めてお店に来られます。アンフィニマン・ヴァニーユ、タルト・アンフィニマン・プラリネ・ノワゼット、それにキャレマン・ショコラ。これらは、メゾンを代表するパティスリーです。

アルザスのご出身ですが、絶対外せない出身地のスペシャリテは何ですか?
パティスリーでは、クグロフ、ブレデル(注:クリスマス用の焼き菓子)、クエッチのタルト、ミラベルのタルト、ルバーブとメレンゲのタルト、フォレ・ノワール…いろいろありますね。

故郷を思い出す懐かしのお菓子は?
父が作ってくれた、シナモンシュガーをまぶしたクエッチのタルトです。再現しようと試みたんですが、思い出のようなおいしさにはけしてなりません!

パリのボーパサージュ(Beaupassage)の一角に、カフェをオープンするそうですね。新店舗について、もう少し詳しく教えていただけますか?
もちろんです、もうすぐボーパサージュ(注:ヤニック・アレノ、アンヌ=ソフィー・ピック、ティエリー・マルクス、ピエール・エルメなどの店やレストランが並ぶ、屋外のグルメ・パサージュ)の中にカフェをオープンする予定で、場所はパリ7区です。インテリアデザイナーのローラ・ゴンザレスが、メゾンの作品を思わせる新鮮で明るくポエティックな内装をデザインしてくれました。パリらしく温かくモダンで、家具やパティスリーなど、このカフェのコンセプトに携わったさまざまな職人の技が生きています。店ではパティスリー、マカロン、チョコレート、ケーキ、アイスクリームだけでなく、こういった空間で食べたくなるシンプルな軽食メニューも用意しています。このカフェではブランチも提供しますし、コーヒーとお茶をテーマにした“バリスタ”というパーティも考えています。2018年8月25日にオープン予定です。

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