デルフィン・プリソン、テロワールの食材にかける情熱

デルフィン・プリソンは4年前、ファッションの仕事をやめ、食料品店を開きました。昨年、自身の第2号店(食料品店兼レストラン)をオープン、さらにネット販売も始めたのです。彼女自身が細心の注意を払い、手作りのフランス産の食材を試食、セレクションするその徹底的な選別方法は、見事に報われました。パリジャンたちは、もう彼女の取り扱う食材なしには生きていけません。彼女に話を伺いました。

デルフィン・プリソンの経歴には、驚くばかりです。パリに高級食材店メゾン・プリソンMaison Plissonを立ち上げた彼女は、もともと本屋の開店を夢見てビジネススクールで学びましたが、その後ファッション業界に進出、その弁舌も手伝って、あれよあれよという間に業界でキャリアを積んでいきました。そして旅行を通じて、自分が一番好きなことはなにか、それはマルシェや食品店を訪れることだとわかったのです。

テロワールの最高食材

テロワールの最高食材を見つけるために、デルフィン・プリソンは、フランスをくまなく見て回りました。食通のジャーナリストやシェフたちに、最良の生産者や食材を取り扱う場所を聞き、想像を絶するような食探しの旅に出たのです。行きつく先々で生産者、農家の人々に会い、現地で良いと聞いたすべての住所を訪ね歩きました。

この1年に及ぶ食探しの旅で、彼女の直観は確固たるものとなります。真の情熱を持ちつつも、厳しい条件で働いている人々を愛し、彼らに会うことが大きな喜びとなり、彼らをサポートしたい、彼らに光を当てたい、そして彼らの作る食材を紹介したい、と心から思うようになりました。夢が明確となり、彼女はすべての最高食材を一つのお店に多角的にまとめ、取り扱うことにしたのです。

パリに2店のメゾン・プリソン

今日、現実のものとなったお店は二つ。
ボマルシェ大通り、そしてマルシェ・サントノーレのメゾン・プリソンには、新鮮な有機栽培の果物と野菜、高級食材、ワインカーヴ、パン、精肉コーナーがあり、店内のレストランでは、旬の食材を使った家庭的なレシピの料理をシェフが提供しています。さらにサントノーレのお店では、調理器具や雑貨も取り扱っているのが嬉しいですね。

デルフィン・プリソンは、希望通り食料品店をオープンしましたが、そこにレストランを併設することは複雑ではなかったのでしょうか?
彼女の説明によれば、なによりもまず、より楽しく買い物ができる、というよりむしろ、買い物自体が喜びとなるような場所にしたかったとのこと。男性が女性を押しのけて買い物に来るような場所を望んでいたんですよ、と冗談まじりに語ってくれました。

とても良い品質の食材と伝統レシピのレストラン

またデルフィン・プリソンは、精肉コーナー向けに、肉を細切れよりも丸ごと仕入れます。お肉屋さんとしては売ることができない肉のバラの部位は、レストランで伝統レシピ料理に使います。こうして稀有なお肉の部位を、とても良心的な価格で提供できるのです。

また、食品ロスに真っ向から反対している彼女に、素晴らしいアイデアが浮かびました。前日の売れ残りの食材で調理したシェフの創作料理を、本日の料理としてメニューに加えるのです。熟しすぎたトマト、消費期限間近のチーズ、お客様にそのままお買い求めいただくには少し心もとないけれども、調理用としては素晴らしい食材となるフルーツなどなど。この方法により、可能な限り品質と値段の最高のバランスを実現しているのです。