クロード・モネの足跡を辿る

屋外で描いた、色彩の画家、クロード・モネ(1840-1936)。ル・アーヴル、ジヴェルニー、ルーアン、エトルタなど、印象派を牽引する存在であったモネのゆかりの地をご紹介します。

屋外で描いた、色彩の画家、クロード・モネ(1840-1936)。印象派を牽引する存在であったモネのゆかりの地をご紹介します。

クロード・モネ

パリで生まれ、ノルマンディー地方で育った若きクロード・モネは、風景画家のウジェーヌ・ブーダンによって見いだされ、彼に浜辺で描くことを勧められました。屋外で描くことの魅力を発見したモネは、生涯を通じて屋外での絵画制作に情熱を抱き続けました。1874年、モネは、パリの写真家ナダールのスタジオで行われたグループ展に参加し、新しい絵画スタイルの表明とみられている作品『印象、日の出』を出品しました。そして、これが、印象派の時代の始まりとなったのです。

モネに成功が訪れたのは1890年代のことです。この時代、モネは、美術史に残るいくつかの連作を含む数多くの作品を発表し、その中でとりわけ有名なのが1894年の『ルーアン大聖堂』の連作です。 ウール県のジヴェルニーに家を買って身を落ち着けたモネは、生涯をそこで過ごします。贅沢な庭は、彼にとっての一番のインスピレーションの源となりました。彼の最後の大作のひとつである巨大な『睡蓮』の連作は、その庭にある、日本美術に影響を受けて作られた池からインスピレーションを得て描かれています。

ル・アーヴル

太陽が靄の中から姿を現した瞬間のル・アーヴルの港を、早朝のホテルの窓から見て描いた作品『印象、日の出』が、印象派の名前の元となりました。モネは、暗示的なタッチで、夜明けの工業港の光あふれる雰囲気を表現しました。船のシルエット、海のさざ波、空気と水を照らす太陽の反射、モネは、こうしたつかの間の感覚を画布の上に永遠にとどめることに成功し、この傑作が美術史の流れを変えました。

港はすっかり近代化されましたが、ル・アーヴルの浜辺からは、今もなお、大気の変化で気まぐれに移り変わる光あふれる海の風景を眺めることができ、それはまさに印象派体験と言えましょう。こうした環境に囲まれて海辺にたつアンドレ・マルロー近代美術館(MuMa)では、フランスでも有数の印象派コレクションを常設展示しています。 『印象、日の出』は、パリのマルモッタン美術館に展示されています。

ジヴェルニー

1883年、モネは、セーヌ川から少し離れたジヴェルニーに身を落ち着けます。絵を描くように庭園を整備した10年後、彼は、睡蓮の池を作るという大工事に取り掛かります。日本の芍薬、枝垂れ柳、竹などの植物を植えて、日本風の池のある庭園を作ります。日本の版画から着想を得たとされる木製の橋が、この素晴らしい東洋風の庭園のアクセントとなっています。
25年以上にわたり飽くことなく、彼は、この庭園からインスピレーションを得て、移り変わる水面の光の反射を絵の中にとらえようとしました。

1980年以降、クロード・モネの家と庭園は、毎年3月から10月の期間、一般公開されています。睡蓮の池にかかる日本風の橋を渡り、画家の寝室の扉を開ければ、モネの内面世界に入り込むというユニークな体験ができます。 そこから少し離れたところに、ジヴェルニー印象派美術館があり、年に二回、先駆者から後継者に至る印象派の潮流をテーマにした特別展が開催されています。《クロード・モネのまわりで(Autour de Claude Monet)》と題した常設展もご覧ください。

ルーアン

蛇行するセーヌ川の窪みにある町ルーアンは、印象派の画家たちを魅了しました。「ヴェニスのように美しい。」と、ピサロは感嘆しています。ピサロがルーアンの橋とセーヌ川沿いの近代的な生活を描き続けたのに対し、モネは、2シーズンをかけて、ゴシック建築の白眉であるルーアンの大聖堂に挑みました。様々な雰囲気を醸し出す大聖堂のファサードに取りつかれた彼は、絶えず移り変わる光をとらえようと、同時に14枚の作品を描いています。この壮大な仕事から、有名な28枚の『ルーアン大聖堂』の連作が生まれ、世界各地で展示されています。

今も大聖堂前の広場にしばしたたずめば、当時モネが感じた感動を体験できます。そして、シスレーやピサロの足跡をたどり、歴史がたくさん詰まった路地を歩いたり、セーヌ川をクルージングしたり、セーヌ川のほとりでピクニックしたりして、さらなる印象派体験を楽しみましょう。

エトルタ

モネは、1883年から1886年の間、エトルタにも定期的に滞在しました。ノルマンディー地方の小さな港であるエトルタの目もくらむ断崖に惹かれてのことです。モネは、あらゆる可能な視点から、この素晴らしい風景を80回も描いています。
幾多の巨匠によって何度も描かれてきたこの有名な断崖を描くことは、モネにとって一つの挑戦でした。そこで彼は新たなアプローチを探し、エトルタの三つの崖のうち最も高く、最も離れていて、行くのが難しいマンヌポルトで、何枚もの絵を描きました。断崖を見上げるようにして描いた絵は、ごく自然な形で断崖を海の中から出現させ、水の反射の中で煌めく太陽の光を見事にとらえています。

これらの断崖の上から夕陽を眺めれば、今もなおめったに味わうことのできない感動の瞬間を体験できます。海の上に張り出した小道を、世界でも類を見ない絶景を眺めながら歩いていきましょう。海上を遊覧したり、晴れた日に賑わう海辺のテラスで一休みしたりするのも、素敵な印象派体験になりますよ。 この絵は、ノルマンディー地方のカーンの美術館に展示されています。