フランス芸術運動の変遷

ロマネスク、ルネッサンス、古典主義、超現実主義・・・。フランスにおける芸術の様々な変遷は、歴史の移り変わりとともに各時代に、その形跡をしっかりと刻んできました。ロマネスクの修道院から現代アートが展示された美術館、またゴシック建築の大聖堂から印象派の画家によって描かれた風景画にいたるまで、フランスの多彩な遺産を発見してください。

中世の修道院と大聖堂

フランスにおける芸術の変遷を知るために、まずは11世紀の芸術から見てみることにしましょう。この時代は、クリュニー修道院**abbatiale de Clunyを初めとするロマネスク芸術**art roman がフランスで広がりました。他方、厳格さや簡素さを特徴とした建築物として、ブルゴーニュ地方のフォントネー修道院**abbatiale de Fontenay** (外部リンク) が挙げられます。またノルマンディー地方では、イングランド征服を描いたバイユーのタピストリー**tapisserie de Bayeux** (外部リンク) (ユネスコの« 世界記憶遺産 » に登録)が有名です。

13世紀からはロマネスク芸術に代わり、ゴシック芸術が少しずつ台頭してきます。アーチ状の交差が施された円天井と、交差するヴォルトの下側に太いアーチを掛け渡して補強したリブ・ヴォルトを左右対称に組み合わせて建てられたゴシック様式の建築物は、非常に高さのある建物となりました。パリでは、ノートルダム大聖堂**cathédrale Notre-Dame (外部リンク) **やサント・シャペルが、中世の宗教建築を象徴する代表的な建物となっています。

印象派とアール・ヌーヴォー

モネの作品印象、日の出Impression, soleil levant を見た芸術批評家が、軽蔑の意味をこめて名づけたことからフランスで印象派が誕生したのは、1870年代のことでした。クロード・モネやオーギュスト・ルノワールといった自由で好奇心旺盛な多くの画家達は、室内のアトリエを飛び出し、セーヌ河沿いやルーアン大聖堂**cathédrale de Rouen** (外部リンク) の一瞬の風景を捉え、光の移り変わりを描きました。パリのオルセー美術館**musée d’Orsayは、印象派の数多くの作品を所蔵していますし、またオヴェール・シュル・オワーズ城**Château d'Auvers sur Oiseでは、マルチメディアを駆使した印象派のスペクタクル・コースがご覧になれます。

またこの時代、産業や手工業芸術を探求し、自然に着想を得たアール・ヌーヴォーと呼ばれる芸術運動が盛んになりました。ナンシーのナンシー派Ecole de Nancy (外部リンク) 美術館やヴィラ・マジョレル**villa Majorelle** では、エミール・ガレやドーム兄弟のガラス工芸作品が展示されており、彼らの作品は波打つラインやアラベスク模様に特徴があります。その他アール・ヌーヴォーの代表的な例としては、建築家エクトール・ギマールによりデザインされた、パリのメトロ入り口の装飾が挙げられます。

20世紀から今日に至るまで

アール・ヌーヴォーで特に代表的な作品の世界が広がる場所は、メトロのアベス駅近く、モンマルトルの丘にあるエスパス・ダリ**espace Dali** (外部リンク) で、パリにおいて超現実主義の殿堂となっています。サルヴァドール・ダリの奇想天外な世界から現代の芸術、まさに今我々の生きる時代に形作られている芸術に、ほとんど違いはありません。ボルドーからランス、マルセイユからレンヌといったフランスの主要都市では、23の現代芸術地方基金 Fonds régionaux d’artcontemporain (Frac)と現代芸術を展示する多くの美術館によって、現代の芸術作品を鑑賞することができます。最後に、是非訪れていただきたいところがメッスのポンピドゥー・センター別館**Centre Pompidou-Metz**。ここはイル・ド・フランス地方以外のフランスの地方で、特別展を訪れる入場者数が最も多い場所となっています。