アルルの円形闘技場と古代劇場

アルルは古代ローマ時代から中世にかけての歴史の息吹が強く感じられる町です。ローマ時代には首府が置かれ、円形闘技場や劇場、プロヴァンスに現存する最大の浴場や古代劇場、さらに郊外には大規模な墓地など数多くの遺跡が点在しており、この町の長い歴史に思いを馳せずにはいられないでしょう。

円形闘技場

ローマ植民地時代、推定紀元1世紀末に建造された円形劇場です。長径136m、短径107mの大きな闘技場で古代ローマ時代には奴隷を犠牲にした剣闘見物などに2万5000人もの人々が集まってきていました。その後要塞や住居として使われたりもしましたが、1825年に再び闘技場として修復され、現在でも闘牛やコンサートに使われる現役の劇場です。周囲は高さ21m、2階建ての60のアーケードが取り囲んでいます。入口の上にある塔にのぼると、円形闘技場の全体だけではなく、アルルの町、そして遠くのアルピーユ山脈まで見渡すことができます。

古代劇場

紀元前27~25年ごろに建てられましたが、5世紀には教会用の石材として一部が切り出され、9世紀には要塞に改造され、さらには地中に埋没して地上に民家などが建ち並ぶという受難の歴史を持ちます。その後17世紀に再発見され、1827年から55年もの歳月をかけて発掘されました。直系102mの円筒形の建物で、1万2000人ほどの観客を収容できたと推定されています。現在、当時を物語るものといえば100本以上あったと言われる大理石の柱数本だけですが、毎年コンサートやオペラがおこなわれ、今なお劇場としての役目を果たしています。

アルル