新しいナウシカ(国立海洋センター)の舞台裏

オー・ド・フランス地方のブーローニュ・シュル・メールにある国立海洋センターは、訪れる人を、陸地から遠く離れた海の世界へ誘います。最近、ヨーロッパで最大規模の水槽をはじめとする新たな拡張工事が行われました。一般公開に先立って、内部の様子をご紹介します。

1-深海へ潜る

緩やかな傾斜のある見学コースは、まるで大西洋の冷たい水の中で暮らす生き物と出会うためにゆっくりと海の中を降りていくかのようです。パシフィック・シーネットルや、イーグルレイ、チチュウカイオオハタ、ウツボ、サメ、発光魚、イワシの群れなどを眺められます。照明は徐々に暗くなり、水深100mの深海にもぐると真っ暗になり、本当に海底にいるかのようです。

2-小人になった気分?

坂道を降り切ると、そこに、この海洋センターの一番の見どころがあります。オリンピック・プール4つ分の大きさの新しいヨーロッパ最大の水槽です。2万匹の魚が泳いでおり、一番の人気者は、フロリダから来たつがいのマンタです。オーストラリア沿岸生まれのシュモクザメも10匹ほどいます。そうした魚を、水槽の中に作られた高さ7.5m、長さ18mのトンネルの中や、高さ5メートル、長さ20mの巨大なガラス窓に面した観覧席から観察することができます。

3-生物多様性の保護について考える

ナウシカは、人々に夢のようなひと時を過ごしてもらうという目的のほか、見学者、とりわけ若い見学者に、海洋保護の必要性を理解してもらうことを目的として作れられました。水槽飼育課の責任者のステファン・エナールは、「毎日、マンタやシュモクザメのエサやりイベントや、飼育員が水槽の中に入り、特殊な機器を使って見学者の質問に直接答えるなどのパフォーマンスが行われています」と語ります。熱心な飼育員たちのおかげで、見学者たちは、楽しく、学びながら、動物と気軽に触れ合うことができるのです。

4-スマホを忘れる一日

国立海洋センターの見学には、特別展の《海洋と気候》展や沿岸地帯の管理をテーマにした《海岸と人間》コースの見学も含めると、5時間が必要です(以前は2時間30分でした)。大人気の大きなサンゴ礁やサメの穴、ケープペンギンが飛び跳ねる岩場、カイマンの水槽、カリフォルニアのアシカのトレーニング、生き物を手で触れる水槽などのアトラクションもあります。まさに丸一日、スマホを見るのも忘れて楽しめる場所です。

5-大胆な建築を鑑賞する

ナウシカは、氷河融解や地球温暖化や極地の問題を取り上げるために、施設の拡張を計画中です。2021年に予定されている新しい棟の完成で、国立海洋センターはマンタのような姿になり、ブーローニュ・シュル・メールからも眺められる新たなアイコンとなります。
しかし、現状でも並外れた規模を持つセンターは、水族館として最先端技術を駆使した優れた建築を誇ります。2021年まで待つまでもなく、見学するなら今ですよ。