ルーベ(Roubaix)でピカソ展開催

オー・ド・フランス(les Hauts de France)地域圏のルーベ(Roubaix)で、ラ・ピシーヌ – ルーベ・アンドレ・ディリジャン工芸美術館(La Piscine - Musée d'art et d'industrie André Diligent à Roubaix)が拡張改修工事のため、およそ6か月間にわたる休館期間を挟み、2018年10月20日にリニューアル・オープンを迎えました。これを記念して、ピカソ展をはじめとした5つの展覧会が企画されています。

ラ・ピシーヌに新設された展示室には、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の知られざる一面ともいえる彫刻作品が、2019年1月20日まで展示されます。スペインのアンダルシア出身のアーティストとしてピカソを見たときに、この彫像はその最も象徴的な作品のひとつとされ、「パブロ・ピカソ、『羊を抱く男(l’homme au mouton)』を巡って」とその展覧会名が示す通り、今展示の目玉となる作品です。
ピカソは、この腕に羊を抱えて立つ男のブロンズ像を、同じ金型を用いて計3体制作しました。今回展示する作品は、パリのピカソ美術館(le Musée Picasso à Paris)から貸与されたものであり、他の2体はそれぞれフィラデルフィア美術館(le Musée de Philadelphie)と、コート・ダジュール(la Côte d’Azur)にあるヴァロリス市場広場(la Place du Marché à Vallauris)にあります。
1944年に制作されたこの作品は、その自由奔放な肉付けが特徴です。このために描かれたピカソによる大量のデッサンも同時に展示されます。この彫像が体現するヒューマニズムゆえにこの作品は賛美されますが、それは、背後にある戦争の文脈と切り離せません。抱えられた子羊は、戦争の犠牲者を想起させるものです。

アズレージョ、陶芸、そしてジャコメッティ

ピカソは、「私は『羊を抱く男』で、人間の感情をシンプルに表現しました。この感情は、これまでも、今も、これからも、人間の中に変わらず在るものなのです。」と言及しました。今回の展覧会では、ピカソによる同様のテーマの絵画作品である『オーバード(L'Aubade)』も同時に展示されます。
ロダンとマティスの彫刻の向かい側に展示された、ピエール・ジャアン(Pierre Jahan)の写真作品は彫像鑑賞の良い息抜きとなります。ピカソ展が必見の展覧会であるのはもちろんですが、同時開催の「エルヴェ・ディ・ローザと世界の作品(Hervé di Rosa et son « Œuvre au monde »)」展に足を運ぶ時間をとることも忘れてはなりません。アーティストが世界各地の職人とともに制作した作品を集めた展覧会で、鮮やかな色彩と、遊び心満載のタイルによる作品や、現代風にアレンジして作られたそれは美しいアズレージョ(azulejos、ポルトガルの典型的なタイル) に見惚れてしまうこと請け合いです。
加えて、リニューアル・オープン記念展として、アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)展、バイユール(Bailleul)の幽霊絵画展、モンス(Mons)のWCC-BFベルギー陶芸家展の3つの企画展をさらに同時開催します。テーマの異なる5つの展覧会を一挙に開催!面白いイベントになりそうです。

実用情報 

入館料 5ユーロ
2018年10月20日~2019年1月20日
ラ・ピシーヌ – ルーベ・アンドレ・ディリジャン工芸美術館 23 rue de l’Espérance 59 100 Roubaix