ステファン・ティデ《迂回》展 パリ、コンシエルジュリ

2018年3月30日から8月31日まで、中世のフランス王の住居であり、革命時代には監獄として使われたコンシエルジュリで、フランス人芸術家のステファン・ティデが驚異のインスタレーションを展示します。

1910年のセーヌ川の大増水をテーマにしたインスタレーションが、コンシエルジュリに5か月間展示されます。セーヌ川の水の一部がコンシエルジュリの内部に作られた水路に引き込まれ、最後は、8mの高さの滝からセーヌ川に再び注ぎ込まれます。“迂回”と名付けられた、大掛かりで人目を引くインスタレーションです。

ステファン・ティデは、2016年の市庁舎前広場の凍った森“眠り”や、ヴェルサイユ宮殿の庭園内の霜で覆われた彫刻“白い音”などで、パリの人々の間で有名になりました。今回は、1910年のセーヌ川の大増水からインスピレーションを得た作品を、増水の跡が今も残るコンシエルジュリに展示します。つかの間の川の迂回を可能にする構造は、セーヌ川から水をくみ上げるポンプから、内部と外部に二つある滝に至るまで、すべて木で作られています。

インスタレーションを楽しむための多彩な催しも開催

ノートルダム大聖堂に近いシテ島のセーヌ川沿いにたつコンシエルジュリは、パリを代表する建物の一つで、10世紀から14世紀にフランス王が住んだ広大なシテ宮殿の最後の遺跡の一つです。

フランス革命の時には、革命裁判所と監獄として使われ、監獄に幽閉されたもっとも有名な囚人がマリー・アントワネットです。王妃は、2か月間、コンシエルジュリに幽閉され、1793年10月に裁判を受けました。
毎日午前9時半から午後6時までの間の建物の通常見学のほか、インスタレーションを楽しむための数多くの催しが予定されています。例えば、5月23日午後6時半からの作者のステファン・ティデとの交流会(要予約)、5月30日午後6時半からの“町の成り立ちと歴史おける川の役割”についての講演会、歴史遺産の専門家による家族見学会などです。4月22日、29日、5月6日、6月10日の日曜日の午後2時からはお話を聞きながらの見学会も行われます。
さらに、5月9日と6月6日は午後9時まで、5月19日には博物館・美術館夜間見学の日に合わせて午後6時から午後11時半まで、夜間の見学も予定されています。