ターコイズブルーの海にそそり立つ赤い断崖、山肌にしがみつくようにして広がる石造りの村々、栗の木が植えられた峡谷――それらが織り成す妙なる風景から、コルシカ島は「美の島Ile de Beauté」と呼ばれています。小さな入り江、パウダーサンドのビーチ、半島、岬...コルシカ島では1,000kmを超える海岸線が、海と空のあいだに広がる大自然に触れる散策へと私たちをいざないます。たとえば島を代表する名所、スカンドラ保護区 réserve de Scandolaはスキューバーダイビングで大人気。その一方でナポレオンが生まれたこの島は、歴史と伝統が色濃く残る場所でもあり、地中海に切り立つ砦に守られた要塞都市をそぞろ歩けば、過去の息遣いに触れることになるでしょう!
コルシカ島の旅の見どころ
コルシカ島の玄関口といえば、多くの場合、バスティアBastiaです。そのバスティアで、訪れた人はのっけから絵葉書収集にいそしむことになるかもしれません。なにしろ、船がたゆたう旧港、背後に広がるカラフルな家々とそれらを見下ろすサン・バティスト教会のシルエット...という絵葉書にぴったりの風景に出迎えられるのですから。バスティアはカップ・コルスを突っ切る美しい旅のルートの出発点でもあります。「島の中の島」の異名を持つカップ・コルスは、地中海に指のように突き出した長さ40kmの半島です。海と山――セラ山の中央尾根の標高は1,307m――のあいだを延びるこの道をたどれば、海を見下ろす鷹の巣村、入り江にひっそりと広がる砂浜、周囲を睥睨する 「ジェノヴァの塔(ジェノヴァ領時代に海からの敵を監視するために建てられた塔)」など、美しい景色や名所に出会えます。
リル・ルス
カップ・コルスの西にあるリル・ルスl’Ile Rousseでは「ジェノヴァの塔」の一つがピエトラ島を護っています。この島は赤褐色の斑岩から成る群島内最大の島で、コルシカ独立闘争の英雄、パスクワーレ・パオリが建設したリル・ルスの町の名は、この赤褐色(ルス)の斑岩に由来します。パスクワーレ・パオリにまつわる思い出が宿る彼の名を冠した大きな広場では、プラタナスの木陰でペタンクの試合が日がな一日行われています。
カルヴィ
カルヴィCalviでは港を見下ろす岩山の上に築かれた巨大な要塞がジェノヴァの4世紀にわたる統治の歴史を物語っています。分厚い砦の内部にあるこの高所の町には狭い小路や階段が縦横に延び、まるで16世紀に迷い込んだような錯覚に襲われます。言い伝えではジェノヴァ人のクリストファー・コロンブスがこの町で生まれたとされていますが、確証はありません。ですがナポレオンのほうは1793年、この町にある彼の名付け親の家に確かに滞在しました。
アジャクシオ
皇帝ナポレオンの栄華を今に伝えているのがアジャクシオAjaccioです。彼の生家は現在、ボナパルト家の博物館となっており、見事に改修された室内装飾や各種の展覧会を通じて、1769年のナポレオンの誕生から第2帝政に至るナポレオン家の栄光の歴史を紹介しています。見学のハイライトは「アルコーヴ」 と呼ばれる寝室です。ナポレオン・ボナパルトがこの部屋に最後に泊まったのは1799年、エジプト遠征の帰りのことでした。
ポルト・ヴェッキオ
アジャクシオの南に位置するポルト・ヴェッキオPorto-Vecchioには思わず足を止めてシャッターを押したくなるような風景が広がっています。ターコイズブルーの海を湛えた湾は、コルシカ島屈指のフォトジェニックなスポットです...。ジェノヴァ人が築いた町の要塞は現在、トレンディーな観光地となっており、にぎやかな広場、アーケード付きの小路や階段、カフェ、ブティックがファッショニスタたちを魅了しています。
スポーツとリラクゼーションの両方を満喫!
「美の島」という異名は内陸部の美しさにも由来します。ですが、それを目にするためには、チャレンジ精神も必要です。せっかくバカンスを過ごしにコルシカに来たのだもの、長距離ハイキングコースGR20にも挑戦あれ!ヨーロッパのハイキングコースの中で最も壮観なコースに数えられているGR20は、最も難しいコースの一つともされています。なにしろ南北に延びるこの180kmのコースを踏破するには、最低でも2週間はかかるのですから!でもご安心あれ。コースは分割可能です...。
歩いたあとは火照った身体を冷やすため、6つある自然保護区 six réserves naturellesの海底探索へと出かけましょう。あるいは筋肉痛を解消するために、カルダンCaldaneの硫黄の温泉に浸かるという手もあります。また、コルシカのワイナリーと9つのAOP(原産地保護呼称)ワインを発見するアクティビティもおすすめ。さらに、夏のエレクトロ音楽フェス、カルヴィ・オン・ザ・ロックCalvi on the Rocksでノリノリになるのも一興です!
美の島の美食―海と山の幸を味わう
コルシカ島を訪れることは、個性あふれるこの大地の香りを味わうことをも意味します。この島の海の幸といえばウニですが、シーズンには注意が必要で、ウニ漁が許されるのは冬だけ、しかも漁獲割当量が厳しく定められています。山の幸ではソーセージ類が有名。とくに「フィガテル」と呼ばれるドライソーセージが名物で、栗粉のポレンタと一緒に食べられます。数あるチーズの中でも有名なのが、山羊や羊のチーズをつくるときに出るホエーを再利用する「ブロッチュ」。デザートにはコルシカのクレモンティーヌを味わいましょう。コルシカのハチミツのように太陽を感じさせるこのミカンは6種類あり、それぞれマキ(コルシカ特有の灌木)と下生えの香りを発散させています。