フランスの3大ブランデー コニャック、アルマニャック、カルヴァドス

フランスの3大ブランデー コニャック、アルマニャック、カルヴァドス cognac fr

若返りの秘薬

フランスを代表する3大ブランデーと言えば、コニャック、アルマニャック、カルヴァドス。数世紀にわたる歴史を持つ琥珀色の食後酒は、フランス国内で生産されるアルコールの中でも、最も価値があるリキュールとして、国内外で愛されています。

 

ブランデーの王様 コニャック

アジアの名士からアメリカのラッパーまで、世界中に人々に愛されるコニャックは、17世紀にシャラント地方で生産が始まった蒸留酒です。当時、コニャックの地に集まった各国の貿易商人たちは、この尊い「ヴァン・ヴリュレ(Vin brule、焼いたワインの意)を自国に持ち帰りました。その際、オランダの商人たちが「ヴァン・ブリュレ」をオランダ語に直訳し「ブランデウェイン(Brandewijn)」という名で輸出したところから、現在の「ブランデー」の名前が誕生したと言われています。

悪魔のお告げに従い、僧侶が2度の蒸留を試みた’という曰くつきのコニャック酒。今日でも、オーク樽の中で2年半ゆっくりと熟成させるという決まりを忠実に守って生産されており、この熟成法に則ったコニャック酒だけが、AOC(1936年より制定)を名乗ることができます。今でも「社会的成功者の酒」というイメージは衰えておらず、ハイクラスなブランデーとしてますますその人気を高めています。

とはいえ、全てのコニャック酒がハイレベルなわけではないので、購入するときには注意することが必要です。様々なカテゴリーで格付けされるコニャックですが、最も高級とされているのがX.O(エキストラ・オールド)、またはナポレオンと記載されたものです。これらは少なくとも6年の間オーク樽でゆっくりと熟成されたもので、醸造技術者により繊細なブレンドが実現されています。優雅な最高級コニャックとして知られるレミー・マルタン・ルイ13世に至っては、ボトルあたり1500ユーロ以上(!)もする高価なもの。

 

フランス最古のリキュール アルマニャック

今でも手つかずの自然が残る土地として知られるガスコーニュ地方では、700年以上前からアルマニャック酒が製造されています。
アルマニャックは白ブドウから造られる蒸留酒で、今日、原産地呼称統制法(AOC)によって厳しく保護、管理されています。アルマニャック地方は土の質によって、バ・アルマニャックBas-Armagnac、アルマニャック・テナレーズArmagnac-Tenareze、オー・アルマニャックHaut-Armagnacの3つの産地に区分されており、一般的にバ・アルマニャック産のものが深い味わいと芳香を楽しめる、最も高級なアルマニャック酒とされています。
アルマニャック酒は、ダム・ジャンヌと呼ばれる丸く膨らんだ、独特の細口大瓶に詰められており、数年間保存することが可能です。芳醇な香りが漂うアルマニャック酒は、若返りの媚薬とも言われており、食後酒として広く親しまれている琥珀色のリキュールです。
 

 

リンゴのブランデー カルバドス

ノルマンディー地方を訪れたら、味わわずには帰れないのがカルヴァドス酒。カルヴァドス酒は、ノルマンディーの特産品りんごを使ったシードル、もしくは洋ナシを使った発泡性ワイン、ポワレを蒸留して生産される繊細でフルーティな味わいの伝統的な蒸留酒です。地元の人々には「カルヴァ」の愛称で親しまれています。

カルヴァドス酒の製造はきのう今日始まったものではありません。その誕生は、今から約450年以上昔の1553年、貴族ジル・ド・グベルヴィルが、自らの果樹園で栽培したリンゴで作ったアルコールに由来するとされています。たまたま誕生したリンゴのブランデーは瞬く間に地元で人気の蒸留酒となり、ノルマンディー中のりんご栽培農家がその製造に挑み始めます。地方を巡回するアランビック蒸留器を順番に使うことで、各農家が独自のカルヴァドス酒を製造するようになりました。
19世紀末には、ブドウの大害虫ネアブラムシがブドウ苗木に寄生し、ブドウ畑に壊滅的な被害を与えたことにより、カルヴァドス酒は黄金時代を迎えるようになります。しかし、1940年以降に原産地の呼称規制が厳しくなったことにより、ノルマンディー地方以外で作られる同様の蒸留酒は「カルヴァドス」と名乗ることはできなくなり、生産もプロフェッショナルな一定の団体に委ねられることになります。
今日では200種類ものバラエティに富んだリンゴからさまざまなシードルが生産されており、それらを利用して多様な味わいのカルヴァドス酒が生産されています。カルヴァドス酒は、古くからノルマンディーの民衆に親しまれてきたブランデーです。その文化は今日も廃れることなく、トゥルー・ノルマン(Trou normand、料理の途中でアルコール度の強い酒を飲むこと)といった習慣でノルマンディーの地に残っています。

見どころ