オー・ド・ヴィ(命の水) ブランデー

  • © Atout France/CDT Calvados

オー・ド・ヴィ(命の水) ブランデー cognac fr

フランス語で「オー・ド・ヴィ(=命の水)」と呼ばれる酒があります。ワインなど醸造酒を蒸留してアルコール度数を高めたもので、高級なレストランではたいてい食事の終わりにディジェスティフ(食後酒)としてサービスされたり、年代物の酒が陳列されていたりします。
フランスの「命の水」は原料や製法が豊富で楽しみ方もさまざま。日本で手に入れにくいものもあるので、これはフランスを訪れた際には各地の料理やチーズと合わせてお試しください。

 

ブランデー

かつて、19世紀中ごろに大規模な病害が発生するまでは現在よりはるかに広い面積でワイン用ブドウの作付けが行われていました。醸造されたワインのアルコール度数は12度から15度程度で、日本の清酒とほぼ同じ。ワインを蒸留器に通して度数を高め、樽をかけて香りや色を付けた後に再び希釈して40度以上で販売されるのが「ブランデー」です。
ボルドーではかつて、たくさんの木樽を積んだ平底船が河を下り、海を越えて英国やオランダにワインを盛んに輸出していました。そもそもワインは管理がデリケートな酒で、最近の言葉を使えば「地産地消」型であり、移動を嫌う商品だったわけですが、市場の拡大と共に輸送のニーズも増大していきました。ただ中世から近代にかけての技術ではワインの品質を安定させたまま運ぶことが難しかったようです。ワインを蒸留器で「焼く」とアルコール濃度が高まり品質も安定することから、効率よくアルコールを運ぶために次第にこの手法が広まりました。ここから「焼いた酒」を意味するオランダ語が変化して「ブランデー」となりました。ブランデーの分類として「コニャック」と「アルマニャック」などがあります

コニャック

コニャックはボルドーの北側に現在もある町の名です。もともとワインとしてはボルドーに劣るこの地域は、ブランデーにすることで活路を見出しました。樽で熟成させる際に華やかな香りと味わいに仕上げるのが特徴です。熟成年数により「VSOP」、「ナポレオン」などの呼称を使います。

アルマニャック

アルマニャックはボルドーの東側、かつてガスコーニュと呼ばれた地域の一部を指す名称で、「三銃士」の物語で知られるオーシュという町がある一帯のことです。アルマニャック式連続蒸留器を使うのが主流です。コニャックと比べるとストレートなパンチの利いた酒が多いといわれます。熟成につれ味わいが増しますので樽熟成5年以上のものを上品とします。
一方で20年ほど前に新たなAOCとして「フロック・ド・ガスコーニュ」も生まれています。若いアルマニャックにブドウジュースを加えたもので、フレッシュで果実味の高い香り、洗練された味わいが、軽やかで現代的なイメージが特徴です。キリッと冷やして食前酒に。食事中ではフォアグラなどとの相性が良いようです。

マール

 マールという酒をご存知でしょうか?ワインを仕込む過程で搾汁後のブドウのかすを発酵させ、蒸留したものがマールです。マール・ド・シャンパーニュ、マール・ド・ブルゴーニュなど各地で作られます。高級ワインの繊細さや複雑さとは対照的な荒々しい力強さが味わえます。

カルヴァドス

フランス北西部のノルマンディーや北ブルターニュ地域一帯は海洋性気候でブドウ栽培に適さないため、リンゴ栽培が盛んになりました。
リンゴの醸造酒シードルのアルコール度数はビールとほぼ同じ5度程度。微発泡があるのでコルクに針金を架けたボトルに入っています。店ではピッチャーに入ってでサービスされます。名物のソバ粉で作るクレープ「ガレット・ド・サラザン」のお供に素焼きのボールでいただくのが地元スタイル。
このシードルが焼かれてカルヴァドスという蒸留酒になるとアルコール度数は40度です。別名「トゥルー・ノルマン(ノルマン人の穴)」。ノルマンディでは大きな食事の途中でカルヴァドスを飲み、胃に穴をあけて余地を作って再び食事を続けます。食後酒とすれば胃もたれの解消にも役立ちます。またカルヴァドスを小麦粉のデザートクレープにかけてフランベしたり、葉巻を浸したりして香りを楽しみます。

ポモー

カルヴァドスにリンゴジュースを加えて樽で熟成させたのがポモーという酒で、アルコールは17度です。ポモーには甘みと酸味があって飲みやすくなっています。このほか一部では洋ナシの醸造酒ポワールを蒸留したカルヴァドスも認められています。

フルーツブランデー

 様々な木の実や果実から作られるフルーツワインをベースに作る蒸留酒があります。前述の洋ナシやキイチゴ、ミラベルというスモモ、クエッチというプラムなどが代表的なものです。たいていは無色で、透明の細長いボトルに入っています。産地や収穫期が限られるためブドウなど比べると生産量が少ないことからでしょうか、日本に入ってくるものは限定されています。お菓子作りに利用されることも多くあります。北東部のアルザスやロレーヌ地方などが有名な産地です。


ご紹介したオー・ド・ヴィーの数々はいずれも小ぶりなグラスに注いで手で温めて、香りを楽しみながら飲むのが一般的ですが、もちろん好みでオンザロックスやカクテルベースとして使っても美味しくいただけます。料理やご当地スタイルの楽しみ方をぜひお試しください。