クレッシュ・ド・ノエル ~イエス生誕群像・サントン人形の伝統~

  • © Atout France/Eric Larrayadieu

クレッシュ・ド・ノエル ~イエス生誕群像・サントン人形の伝統~ プロヴァンス fr

クレッシュCrecheと呼ばれるクリスマスに飾るイエスの誕生を再現した模型は、その歴史も古く、12世紀、フランシスコ会の創設者アッシジのサン・フランチェスコが始めたと言われています。その後、クレッシュは、フランス革命の頃からプロヴァンス地方の家庭で飾られるようになり、その美しい習慣は瞬く間にフランス全土へと広がりました。

伝統的なプロヴァンスのクレッシュにはイエス、マリア、ジョゼフのほか、村の人々や動物たちも飾られ、それは家畜もふくめた全ての人に役割がある理想的な村を表しています。村には家々が立ち並び、共同の井戸と竈があり、水車の回る川が流れています。村は雪に覆われ、松やオリーブの木が生えています。そしてその傍らには、うち捨てられた馬小屋の中に生まれたばかりのイエスが、聖母マリアとジョゼフ、そしてロバと牛と共にいます。そして空には東方の三博士を導く流星が光っています。

クレッシュを飾ることはプロヴァンスの家庭の大切な習慣で、そこに飾る人形はサントンと呼ばれ(プロヴァンスの言葉で「小さな聖人」の意味)、父から子へと受け継がれます。

サントン人形はどれもプロヴァンの人々がモデルになっていて、職人たちが、それぞれ独自のサントン人形を作っています。職人たちは、まず元となる人形を作り、それを使って型を作ります。型は樹脂で作ることもありますが、普通は石膏で作ります。そしてその型を使って人形を作り、余分なところをそぎ落とし、再び型に入れて手で圧力を掛けます。そしてできたものを日陰で乾かして再び余分なところをそぎ落とし、最後に顔などの明るい部分から色の濃い部分へと順にグワッシュで色付けしていきます。サントン人形のもっとも古い型はジャン=ルイ・ラニェルの作ったもので、マルセイユMarseilleの古マルセイユ博物館に展示されています。

サントン人形には、親指ほどの大きさの伝統的なサントン人形のほか、1~3㎝の小さなものや18~20㎝もある大きなものなど大きく分けて3種類あり、大きなサントン人形は普通、プリント地の服を着ています。サントン人形にはプロヴァンスの習慣と伝統が息づいていて、子羊を捧げる羊飼いのサントン人形には分かち合いの気持ちが込められ、黒い雌鳥を持つ女性のサントン人形には赤ちゃんの健康を願う気持ちが込められています(黒い雌鳥のブイヨンは赤ちゃんによいとされていた)。他にもフーワスをいれた籠を手にしたパン屋さんや、ニンニク売り、魚屋、ランタンを持った女中、網を担いだ漁師、膝を付いて天を仰ぐ祈りの人など、昔のプロヴァンスの生活が感じられる50種近いサントン人形があり、中には面白い名前の付いたものもあります。
ルースティッドは、夫の持つ赤い傘に入っている気のいいブルジョア女性

バルトミウは、イエスに干鱈を持っていく、綿の長い帽子を被ったどうしようもない酔っぱらい

ピスタシエは、麦袋を担いだロバを引くおバカさん

ルー・ラヴィは、神を讃えるかのように天に腕を広げています
これらのサントン人形は東方の三博士と共に1月6日、公現祭にイエスとマリアとジョセフを囲むように置かれ、クレッシュは2月2日の聖マリアのお潔の祝日まで飾られます。

  

見どころ

見どころ