物議をかもした「イヴ・サンローラン1971:スキャンダル・コレクション」展開催中

  2015年 3月 19日 ~ 2015年 7月 19日
  • Planche de collection Collection haute couture printemps-été 1971

    Planche de collection Collection haute couture printemps-été 1971

    © Fondation Pierre Bergé-Yves Saint Laurent

物議をかもした「イヴ・サンローラン1971:スキャンダル・コレクション」展開催中 3 rue Léonce Reynaud 75016 Paris fr

イヴ・サンローランは1971年1月29日、戦下のファッションから着想を得たという、“解放”“40”と銘打ったコレクションを発表しました。ミニドレス、ウェッジヒール、角ばった肩のライン、強調されたメイク。そのどれもがドイツ軍占領下のパリを彷彿とさせたため、一大スキャンダルに発展。コレクション“解放”はモード界を震撼させ、現代史に名を刻むことになるのです。

淡々とした表情の6人のモデルに着させた80点に及ぶ新作が発表され、パリのスポンティーニ通りは騒然となります。スポンティーニ通りは、イヴ・サンローランとピエール・ベルジェが1961年に立ち上げた、オートクチュールのメゾンがある場所であり、設立以来、“イヴ・サンローラン”のファッション・ショーはすべてここで開催されてきました。1971年のこの日も、世界各地から集まった顧客、バイヤー、ジャーナリストのために約180の席が用意されていましたが、ショーが始まった途端、会場にどよめきが走ります。中には、目の前で繰り広げられる衝撃のコレクションに反感を露わにし、忌まわしいと糾弾の声を上げてしまう人も……。イヴ・サンローランがインスピレーションのもとだと主張したのが、大戦や占領下の時代のエレガンスだったために、物議をかもしたのです。

それまで、イヴ・サンローランをフランス・オートクチュールの偉大な伝統を受け継ぐ、唯一の後継者とみなしていたプレス関係者には、角ばった肩も、膝丈のスカートも、ウェッジヒールも、受け入れがたいものでした。彼らの多くが、物資が乏しく、切り詰めた生活を余儀なくされた戦火の時代を体験しており、つらい記憶を呼び起こす作品だったからです。申し合わせたかのように、各メディアがサンローランの逸脱したスタイルを批判する記事を掲載、サンローランは「かの時代へ郷愁感を抱いており、実際にはその時代を知らないことを言い訳にしている」と、非難されることに。

しかし、この1971年のコレクションは、オートクチュールとプレタポルテのあいだに立ちはだかっていた壁を崩壊させ、パリ・モードの“エレガンス”の評価を下げて、栄光の過去に追いやります。また、イヴ・サンローランがこれまで進んできた軌道から脱するきっかけにもなりました。このコレクションの発表は、今後は多義性の規範を目指すという、デザイナー イヴ・サンローランのマニフェストであり、のちに訪れる黄金時代の幕開けとなったのです。過去にインスピレーションを求めることにより、斬新かつ前例のない形で、歴史主義を創作に生かしたイヴ・サンローラン。彼の存在があったからこそ、20世紀後期、レトロ・ファッションが世界を席巻したと言っても過言ではありません。1971年のコレクションは、新しい世代を映し出すために、廃れつつあった世界を枠から追い出した、鏡だったのです。


住所:
Fondation Pierre Bergé-Yves Saint Laurent
Espace d'exposition et boutique
3 rue Léonce Reynaud, 75116 Paris
Tél.: +33(0)1 44 31 64 00
公式ウェブサイト(英語)はこちら

見どころ

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