シュヴァルの理想宮

シュヴァルの理想宮 ローヌ・アルプ fr

 いちど目にしたら二度と忘れられないほど強烈な印象を残す建物、それが郵便配達夫シュヴァルの理想宮です。建築物というよりもむしろ巨大な生き物のようにも見え、今にもうごめき出しそうな雰囲気があります。さらに驚かされるのが、建築に関する知識を全く持たない一介の郵便配達夫が建てたという事実です。高さ10m、幅14m、長さ14mと一般的な建築物からいったら小さいかもしれませんが、自分に建てられるだろうかと考えたとき驚きは倍増します。


 シュヴァルは1836年に貧農の子として生まれ、パン職人を経て郵便配達夫となりました。車も自転車もないこの時代、郵便配達夫は毎日30km以上歩かなければならなかったようです。もともと空想癖の相当に強い人だったのに加え、配達する絵はがきや雑誌の挿絵が彼の想像力をさらに刺激したようです。ある日配達の途中で奇妙な形をした石につまずいた彼は、その石に触発され、想像の世界にあった宮殿を実際に建てる決意をしたとされています。毎日の勤務の後に何キロも離れたところから、手押し車で石を集めてきて、33年の歳月をかけて理想宮を完成させたのです。宮殿はあらゆる時代のあらゆる建築様式を模しているために混沌とした雰囲気です。ヒンズーの寺院やエジプトの神、スイスのシャレー、シーザーやアルキメデスなどと名がついた巨人の像などごちゃまぜ。さらに膨大な数の装飾の施された動物や鳥、植物、奇怪な怪物など細部を見始めたらきりがありません。外面の回り階段を上がるとテラスになっており周囲を見渡すことができます。


 シュヴァルは理想宮を廊にするつもりでしたが、協会や村から反対にあい、村から来るまで5分ほど離れた墓地に墓を作り直しました。こちらにも7年かけています。村の人々は彼を奇人扱いしましたが、理想宮は1969年には文化財に指定され、現在ではアンリ・ルゾーにしばしば並び評されるほどの芸術家としての評価を受けています。


 


9:00~19:00(4~9月)、9:30~17:30(10~11月、2~3月)、10:00~16:30(12~1月)


12/25、1/1はお休み


TEL 04.75.68.81.19